その昔「大津百町」と言われ賑わった東海道五十三次の宿場町、滋賀県大津市が、そのシャッター商店街に賑わいを取り戻す秘策として、町家を改装したホテル7棟が2018年4月29日、プレオープンを迎える。
宿場町を大工の手で蘇らせる
今回は、シャッター商店街の空き家7棟を地元工務店が宿泊施設に改修。商店街の店をコンテンツ化して地域活性を試みる。オープン記念の茶会には県知事やデンマーク大使も参加するとあり注目が集まっている。
地域工務店が会社をあげて行う地方創生ビッグプロジェクト。東海道の宿場町を大工の手で蘇らせる目的だ。
江戸時代には町割が100町も
「大津百町」とは、江戸時代に町割が100町あったと言われ、その繁栄を称してつくられた言葉。豊臣秀吉の時代に大津城が築かれた頃、現在の市街地が形成された。その後、徳川政権下で城下町から商業都市へと変化し、江戸幕府の天領として発展した歴史がある。
高度成長期以降はにぎわいが失われて久しいが、栄華を極めた名残が各所にみられる場所。
市の調査によると、宿場町として栄えた市中心部には現在約1500棟の町家があり、その1割は空き家。活用が難しく取り壊されることが多い。
古き良き日本の空気感を体感
半世紀ほど前までは、「結」(ユイ)や「講」(コウ)という日本の伝統文化を象徴する相互扶助組織がどこにも存在していた。
集落を代表して寺社仏閣に参拝し、その道中で学んだことを仲間に伝えることも目的だった。伊勢に詣でたように大津に来てほしい、古き良き日本の空気感を体感してほしい。ホテル名「講」にはそんな想いが込められているという。(慶尾六郎)